こんにちは、マナビ(学び)です。
今回は通関士試験について、まずはどういった試験なのかという事を解説していきたいと思います。
通関士とは、日本の貿易業界において唯一の国家資格です!!
・・・にも関らずそもそも、試験の日程は?科目数は?合格率は?難易度は?必要な勉強時間は?独学で合格できるの?どの参考書がいいの?申し込み方法は?受験場所は?・・・
等々知らない方にとっては数多くの疑問がある、まだまだあまり知られていない国家資格の一つではないかと思います。
以下に通関士試験の概要をまとめました。
受験を考えている方、興味をお持ちの方はぜひご覧下さい。
尚、通関士試験や業界に関しては、まだまだ情報が少ないのが現状です。そこで、個別に通関士試験の勉強法や通関業界への就職等のご相談等をしてみたいという方はこちらまで☟
目次
※冒頭ですが、合否を決める重要な部分なのであえて書いておきます!!
近年の通関士試験の注意点として、まだ受験経験や過去問に触れた事が無い方には分からないとは思うのですが、現状、通関士試験は『3科目目の通関実務科目で落とす試験』という傾向が顕著です。
それだけ実務科目では参考書ではカバーしきれないイジワルな問題が出る事が多いんです。
ですので、特に初学者の方は、通関業法、関税法の勉強は出来るだけ早く終わらせて、本試験までの時間を、実務科目対策にしっかりと時間をとってください!!
通関業法、関税法が合格ラインに達しても、通関実務科目で数点足らずに落ちる受験生の方々がほんとに大勢いるのが現状です!!
まだ試験の概要も説明していないのにいきなりでしたが、受験をお考えの方は上記点をしっかり頭に入れておいてください。
尚、実際の通関士の仕事内容についてはこちら☟
通関士試験とはどういった国家資格なのか
まずはじめに簡単な概要を
通関士試験とは、財務省管轄の日本の貿易業界では唯一の国家資格です。
受験資格は、学歴、年齢、経験、国籍等は全く関係なく、誰でも自由に受験する事ができます。
試験科目は、・通関業法・関税法等・通関実務と3科目あります。
科目免除制度というのもあり、一定の条件をクリアし申込時に税関の審査をクリアすれば1科目若しくは2科目の科目免除での受験が可能です。
受験目的は人によりけりで、知識の向上・スキルアップの為、貿易業界への就職を有利にする為、資格取得が趣味な方々等々、その人がこの資格をどう活かしたいのかは様々ありますが、通関士になりたい人は当然必須の資格です(【財務省、税関長に権限委任あり】の確認を受けなければなりません)。
通関士試験の科目は何科目あるのか、試験方式は?
・通関業法・関税法等・通関実務 の3科目です
もう少し厳密に言うと、以下のように定義されます☟
- 通関業法
- 関税法
- 関税定率法及びその他関税に関する法律
- 外国為替及び外国貿易法
- 通関書類の作成要領及びその他通関手続きの実務
少し分かりづらく感じるかもしれませんが、もっと簡単に言うと
3科目まとめ
- 通関業法=1科目目にあたるこの科目は、主に通関業者や通関士について規制やルールなどをまとめた法律の事です。
- 関税法等=関税法は日本の関税制度についての法律です。2科目目にあたるこの科目は、関税法+関税定率法、外為法等々関連するいくつかの法律によって構成されます。
- 通関実務=3科目目にあたるこの科目は、実際の通関書類の作成(輸出入の申告書作成)や品目分類、課税価格の計算問題、その他問題は多岐に渡り関税法の輸出入の規定部分が出題されたり、原産地の規則など、より実務的な問題が出題される科目です。
基本的にこの3科目を勉強していく事になります。
3科目目の通関実務科目のみ、電卓の持ち込みが許可されています。
計算問題等がある為ですね。
計算は電卓を使いますので自力での計算処理能力を問うものではありません。
尚、試験方式ですが、2006年10月1日実施の第40回試験より回答形式が大幅に変更され、全科目、全問マークシート方式になっていますので、これから受験をする方々は全てマークシートでの試験という事になります。
通関士試験の日程や試験当日の流れ
試験は年1回、10月に実施されます。
(過去、年1回以上、10月以外に実施された年はありません)
近年は、10月の第一日曜日に実施される事がほとんどです。
※直近の2018年の本試験については第二日曜日に実施されました。おそらく祝日が絡んだ関係でしょうか。
例年7月初旬に官報及び税関ホームページに通関士試験の公告がでます。注意して頂きたいのは実際に公告された内容を見るまで試験日含め試験時間や、得点配分など確実に例年通りではないという事です。
受験者の方は7月になった時点で、税関ホームページ→通関士試験のページを早めに確認しておく事をお勧めします。
受験地についても上記ページで確認ができ、全国各地で実施されますのでご自身が一番行きやすい場所を選択されれば結構です。
試験当日の試験時間まとめ
- 通関業法 9:30~10:20
- 関税法等 11:00~12:40
- 通関実務 13:50~15:30
となっています。試験開始は9:30からですが、30分前には試験会場に入っておくように案内されていますし、どちらにせよ当日は時間に余裕を持って早めに試験会場に到着しておく事をお勧めします。
特長として、2科目目の関税法等と3科目目の通関実務までの時間が割と長いという事です。この時間に昼食などをとる方がほとんどです。
しかし注意してほしいのは、あまり食べ過ぎない 笑 という事です。
これは私自身が経験したからわかる事なのですが、食べ過ぎると眠たくなり一定時間脳の働きも落ちます。
しかも、待っている3科目目は計算問題などが出題され時間配分的にも一番シビアな科目です。
とは言っても全く食べないのも良くありませんので、当然適度に昼食をとって下さい。
そしてこれも経験からアドバイスさせて頂くのですが、一度試験会場の下見には行っておいたほうが良いです。
試験会場までの道のり、かかる時間、付近にあるコンビニや飲食店など一度チェックしておくと本試験当日落ち着いて試験に臨めるのではないでしょうか。
通関士試験の合格率、難易度、必要な勉強時間、合格発表は?
近年の合格率は10%程です
つまり、100人受けて10人は受かる試験とも言えます。
もちろんその年によって合格率の変動があります(20%を超える年もあれば5%を切る年もある)ので一概には言えませんが、おおよそこのくらいの合格率だと思っておいてもらって結構です。
※追記※ 第53回の最新の通関士試験の結果がでました。
2019年度、令和になって初めての通関士試験の受験者全体の合格率は13.7%と昨年よりもやや低くなっています。
科目免除無しの受験者の合格率は12.5%、1科目免除者の合格率もたまたまですが同じく12.5%でした。
総じてみると、今年は科目免除者がやや苦労する試験になったようです(=関税法等が点が取りずらかった・・・という事でしょう)
しかし2科目目の関税法等は、内容を見ても取るべきところをきちんととれる内容でしたし、3科目受験者できちんと勉強された方から見れば、十分6割は取れる内容だったと感じます。(科目免除者はすでに通関の業界人であり、なかなか勉強に時間を取れていない・取っていない方も多いのが実情です・・・)
ですので、やはりこれからも通関業法、関税法等は基礎をきっちり固めておき取れるところは確実にとる。
そして問題は通関実務ですね。近年の顕著な傾向として文章を長々と書きその場で考えさせる問題が増えてきているように感じます。暗記では対応できず、基礎的内容の理解度から、それを実際の例でどうやって解釈し対応していくか・・・こういったところを試しているように見受けられます。
やはり、3科目受験者にとっての最大の壁はまだまだ通関実務になってきそうなので早めに傾向を掴み、対策を立てておきましょう。
2018年の合格率は14.6%となっています。
そして、その前年度の2017年の合格率は21.3%です。
この過去2年の数値だけを見れば10%を超えており簡単なのではと思う方もいらっしゃるかもしれませんが油断してはなりません。
近年の合格率の分析
- 2016年 合格率 9.8% 免除無し 7.1%
- 2015年 合格率 10.1% 免除無し 7.4%
- 2014年 合格率 13.2% 免除無し 7.4%
- 2013年 合格率 11.7% 免除無し 9.4%
- 2012年 合格率 8.6% 免除無し 6.1%
- 2011年 合格率 9.9% 免除無し 7.7%
ここで、注目して頂きたいのが、免除無しの場合の合格率です。
通関士試験とういのは科目免除制度があるというのは先に少しお話ししましたが、公表される合格率というのは全科目受験者、1科目免除者、2科目免除者、全てトータルした合格率だという点です。
合格発表の際に開示される合格者の受験番号の一番最初の数字で、3科目受験者か免除者かを識別できるんです。
そこから3科目受験者のみの合格率を割り出したデータが、上記、免除無しの合格率になります。
なかなかに厳しい数値になっているというのがお分かり頂けたでしょうか。
当然ですが、科目免除者の合格率は高くなります。
そしてその合格率を含めてしまっているので3科目全て受ける受験者の合格率がわかりづらくなってしまっているのです。
科目免除制度とは
科目免除の条件とは具体的には、単に通関業者に勤めている年数ではありません。
通関業務従業者として税関に登録している通算年数です。
従業者として会社から登録するのですが、その記録やデータは税関がきっちり管理し把握ています。
ですから科目免除者については受験申込の際に税関の審査があるのです。その上で最低でも5年以上が必要な年数になってきますのでそんな人はほとんど業界人であって、未経験の方は3科目受験からスタートするしかありません。
必要な勉強時間は??
過去の合格者などの話では、一般的に、
基礎的知識の学習に約200時間、問題演習が約150時間程だと言われています。
という事は、トータルで約350時間程という事になりますね。
私自身の体験・体感では、法学の勉強経験の無い方がゼロからスタートするとなると、平均ではなく最低で350時間と思っておいたほうがいいような気がします。
貿易や法律の知識の無い初学者の方ですと、350~650時間程で個人差があるのですが、平均的にはこのくらい必要かなと感じます。
しかし、勉強というのは人それぞれ、そのやり方、ノウハウを知っているか、どのくらいの期間があるのか・・・等々
その人の状況や、どの分野が得意なのか、などによって必要な勉強時間も変わってくるものです。
なので、3か月で合格した、1年かけて勉強し合格した、という人がいたり、何度受けてもあと少し合格ラインまで届かない・・・
というような一体どれが正解なんだろうという情報が溢れてしまうんですね。
最も効率よく自身のスタイルにあった勉強法を選択できているか??
結局この、自身に最適な勉強スタイルの確立をいち早くできた人程、勉強時間を短縮できており最短で合格しているのだと思います。
ですので、トータルで約350時間必要というのは、
合格者の中のあらゆるタイプの人のあくまで平均値ですのでおおまかな目安程度に考えておいてください。
自分にあった勉強のスタイル、ペース、重点を置く科目、苦手分野、などを早く認識する事が最も重要です。
私自身がそうであったように独学で十分合格できる試験である事に間違いはありません
少し厳しめの数値をお見せしてしまいましたが、憶する事は全くありません!!
現に私自身も独学、3科目受験で合格しています。
そして私の周りの通関士達もみな3科目受験での合格です。
国家資格というのは基本的に努力しなければ合格しません。
さらに難易度の高い国家資格も多数あり、そういったものを突破している人もたくさんいますよね。
同じ人間やればできるという事です。
独学で通関士試験の勉強をお考えの方へのおすすめの参考書
おすすめの参考書
尚、独学をお考えならまずは試験傾向について分析しなければなりません。
そして参考書や過去問が必要です。
その際に教材選びを誤らない事が重要なのですが、過去10年の過去問全てに目を通し、私なりに現在の通関士試験を分析し、現状出版されている中で最もお勧めできるという参考書等を紹介しておきますので、興味のある方は一度ご覧になって見て下さい☟
そしてこちらの参考書。。。というか実務書レベルの本です。
試験だけの事を考えるなら先にご紹介した2冊のほうが分かり易いとは思います。
通関士試験の指針といいますが、通関士になり実務書としても使っていきたいという方はこちらもおすすめです。
リンクは現状出版の最新年度のものになりますが、マーケットプレイスなどで中古品を狙うのもありだと思います☟
資格予備校等の利用も視野に入れている方へ
独学以外をお考えの方などは資格予備校もあります。
或いは、『独学+資格予備校を利用』といった方法も考えられるところです。
自分だけで合格レベルに到達可能だと判断した科目については独学で勉強し、ある一定の部分のみは予備校などのノウハウを利用して、効率よく勉強していきたい(例えば通関実務の申告書対策、選択式対策など)という風に考える方もおられるかと思います。
そんな方には、まず無料の資料請求などしてみるのをお勧めします。
なぜかというとその無料資料に結構通関士試験について詳しく書いてくれているからです。
無料で試験情報や講座の内容を見比べられるのでお得です。
『通関士』の講座がある資格予備校一覧
そういった分析のやり方もあるので通関士の講座を扱っていて、かつ、資料請求だけなら無料の資格予備校をいくつか紹介しておきます。
特に初学者の方や、伸び悩みを感じている方は、一度検討してみるのもいいかもしれません☟
結局、私が受験を考える方に一番言っておきたい事は、現状通関士試験はまだまだ十分合格できる範疇の国家資格であり、勉強するやり方、努力する方向性を間違わなければ必ず合格できる試験だという事です。
その為に最も重要な事は、自分に合った教材選び、自分のライフスタイルに適した勉強スタイルの確立です。
・完全独学にするのか??
・独学+資格予備校を利用にするのか??
・最初から資格予備校ありきで勉強する事にするのか??
この辺りを早めに見極めて行動している人ほど短期合格を果たしています。
通関士試験の受験申込のやり方

受験料は3,000円 申込期限が短いので注意!!
注意点は、申込期限が例年8月上旬から8月中旬と短く2週間もなかったりしますので、試験申し込み用の願書は早めに入手しておきましょう。
受験願書は、税関の公告等では、正式な試験公告がでてから税関に返送用の封筒を同封して請求するか、直接税関に取りに行くかとなっていますが、大きめの書店(紀伊国屋書店など)に正式な試験公告がでてから行くと資格のコーナーなどに置いてあったりします。
お近くにそのような書店があるのなら、この入手方法が一番楽ですので、一度書店に問い合わせてみるといいかと思います。
受験料に関しては、3,000円で収入印紙でというのが特徴的ですが、比較的国家資格の中でも安価なほうではないかなと思います。
尚、収入印紙はお近くの郵便局等で簡単に購入する事ができます。
後準備しておく物としては、履歴書に貼るような自分の顔が映っている写真が必要ですので用意しておきましょう。
写真のサイズは申込書類に表記がありますので、そのサイズに切るなどしてから裏に自分の名前を書いて貼り付けましょう。
申込方法
- 税関に直接行き書類申請する(3000円分の収入印紙を持参する)
- 申し込み書類を郵送で請求し返送する
- NACCSによるネット申請をする
正直一番ベターなのは2です。
3のNACCSによる申し込みなどそもそも通関業者で働いている方でないとできません。
1を選ばれてもいいですが、税関は試験会場では無く試験会場の下見にはならないので、わざわざ行く必要も無いかと思います。
2のやり方ですと全て郵送で手続きが完了します。
申し込み後、書類の不備が無ければ、税関から受験番号が記載されたハガキが送られてきますので本試験当日まで無くさないよう大切に保管しておきましょう。
尚、補足ですが万一受験申込みの書類に不備があっても、申込先の税関から電話がかかってきて指摘してくれますのでご安心を。(知人の経験談です)
その年の詳しい申込方法については、公告時に税関のほうからきちんと発表されますので、税関の通関士試験のページを7月になったらチェックするようにしましょう。
通関士の実際の求人を見てみたい!!
最後に、現役通関士としてちょっとしたアドバイスを
ここまで読んで頂き、通関士試験、そしてその先にある通関士の実際の仕事に少しでも興味を持って頂ければ幸いです。
最後に、これから通関士を目指そうとする方々に、先にこの業界に入り、現役で通関士として働く者として少しアドバイスをさせてもらえたらと思います。
通関士になりたい!!!
と考える方は、まずは通関士試験の合格が目標になるかと思います。
しかし、通関士試験合格後は・・・???
試験勉強のモチベーションを保つ為にも、試験合格後のビジョンについて具体的にイメージしておく事も大事な事です。
私自身がそうだったのですが、この業界、通関士資格が無くても通関業務職として採用してくれる会社は探せばあります。
※実際私自身は異業種から、通関士資格無し、実務経験無し、の状態の中で色々な求人を見て、何社も応募し、面接でその熱意を伝える事で採用して頂く事ができました。それが私の通関業務のキャリアのスタートでした。
尚、未経験からの通関士への就職・転職についてはこちらの記事で☟
社会人の方なら、通関の仕事に限らず異業種であっても仕事に時間をとられるものです。
ですが、実際の通関業務を仕事にしながら実務経験を積みながら試験勉強をして通関士試験に合格できたら・・・???
将来的に通関士になりたいというのであれば、正直それが一番効率的ですよね。
状況は人によりけりだとは思うのですが、可能なのであればいきなり通関業務の仕事に就いて、経験を積みながら勉強するというスタイルが理想的です。
そういった選択肢を選ぼうとする方にとっては、まず数多くの求人を見るところがスタートです。
ですので、より具体的な通関士の求人を数多く見ておきたい!!将来は通関関係の仕事に就いてみたい!!いい求人の話があるのなら逃したくない!!・・・
という方は、転職サイトやエージェントなどを利用して実際の求人を見てみる事をお勧めします。
イメージを行動に変える為にも、ぜひ実際の通関関係の求人を見てみて下さい。
おすすめの転職サイト・エージェント一覧
まずは『登録だけなら無料』のほうが安心だと思います。
『いくつか登録してどんどん行動していく』これが個人的にお勧めです。
いくつかの転職サイトなどに登録し、求人を見て、実際の求人の条件などなど、より具体的にイメージできるようになってくると思います。
下記にいくつか『登録無料かつ、利用も無料』で安心できるメジャーな転職サイト・エージェント一覧のリンクを貼っておきます☟

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以上、簡単に通関士試験の概要というものをお話ししてみました。
まだまだマイナーな国家資格であり、その試験の情報は他士業の情報量と比べても少ないなぁ。。。と感じる事があるかと思います。
あなたがそう感じたのなら、それは過去の私と同じです。
ですから、現役の通関士となった今、もっともっと通関士という仕事・資格について情報発信してその存在を知ってもらいたいという思いからこういった記事を綴っております。
通関士を目指すにしても他の目的で取得を目指すにしても、試験合格はスタートです。”その先にある何か”を目的にして取得して下さい。
通関士試験に興味を持ち、勉強している全ての方々を心から応援しています。
マナビ(学び)
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